第1話 「父の手がかり」 (03/03/02) |
「しっぽの漬け物が終わってる……」 MooguはTubomiを振り返った。 「Tubomi。ララブのしっぽの漬け物、買ってきてくれ」 「はぁ〜い」 はじめまして。わたし、Tubomiと言います。3年ほど前に、訳あって、ウインダスに住むことになりました。 よく、人から泣き虫とか、世間知らずとか言われるけど、それにめげず、真剣に今を生きてます。 ララブのしっぽの漬け物は、ここでわたしを育ててくれたMooguの大好物で、すぐになくなってしまうんです。 「Chamamaさん、漬け物を買いに来ました」 「あら、Tubomiちゃん。毎日ご苦労様。Tubomiちゃんのおかげで、うちは大助かりだよ」 「Mooguったら、つまみ食いしちゃうから、買いだめしたらお金がいくらあったって、足りないんだから」 Chamamaは何やら考え込む様子をした。 「どうしたの?」 「確か、Tubomiちゃんに言っておかないとと、思ったことがあったんだけど……」 「大事なこと?」 「そう。とっても大事なこと」 ChamamaはひらめいたようにTubomiを見た。 「そうそう。Tubomiちゃんのお父さんを見た人がいるよ」 「えぇ!!」 「調理ギルドの主人が、見たんだって」 「訊いてみます」 Tubomiは慌ただしくChamamaの前から駆けだした。 「確かに、あんたの父さん「Lond」に間違いなかったよ」 「でも、よく顔を分かりましたね」 「だって、頭の上に、名前が付いてたからね」 「あぁ、そっか。でも、どうして呼び止めてくれなかったの」 「そりゃ、呼び止めたさ。でも、聞こえなかったのか、すたすた行っちゃうし、それに、 こっちも忙しかったからね」 「でも、生きているって事が分かって、良かったじゃないか」 「うん」 お父さんは、生きていたんだ……。 Tubomiは自宅に向かって走り出した。 「Moogu。お父さんが生きていての!」 「いきなり飛び込んできたから、どうしたかと思ったぞ」 「お父さんが、生きていたの」 「そうか、生きていたか」 「ねぇ、どうすればお父さんに連絡できるの?」 「手っ取り早く、手紙を出したらどうだ?」 「えっ? 届くの?」 「心配はいらない。名前だけで届いてしまうのだ。世の中便利になったものだ」 「よーし。お父さんに手紙を書く!」 Tubomiは気合いを入れた!! 「ところで……」 「ん?」 「ララブのしっぽの漬け物はどうした?」 「…………」 続く…… |