第13話「疑惑」 (03/07/28) |
「いや、この話は、君のお父さんも関係しているかもしれないんだ」 「えっ?」 Tubomiは聞き返した。 「お父さんが関係してるって、どういう事?」 「つまり、Carlanの多大な利益、いや、不正の利益に、君のお父さんが関与しているかもしれないってことだよ」 Tubomiは眉間にしわを寄せた。 「どうしてお父さんのことを知っているの?」 Crioは照れくさそうに頭を掻いた。 「いや、ちょっと立ち聞きしたんだ」 「お父さんが不正に関係しているって、そんなはずないよ」 Crioは腕組みをした。 「実際に関係しているかどうか微妙なところなんだけど」 「詳しく話して」 「うん。まぁ、歩きながら話そう」 Crioは歩き始めた。 TubomiはCrioの後に付いていった。 「まず、彼の交友関係について話しておきたい」 Tubomiはこくりと頷いた。 「Carlanには『戦友』と呼ばれる3人の親友がいる。 古代魔法コンフュを発見し、将来を約束された赤魔道士『Perdel』 並はずれた剣技を持つ戦士『Face』 そして、類い希なる強靱な肉体を持つ戦士、君の父である『Lond』の3人だ」
「むっ……」 Londは何者かの気配を感じた。 「誰かつけてるな」 「跳ね橋があがるぞー!」 Londは跳ね橋に向かってかけだした。 「こ、こら、危ないぞ!」 Londは制止を振り切り、上がり始めた跳ね橋をかけだし、飛び越えた。 「ふぅ……」 Londは上がった跳ね橋を振り返った。 「これなら追っては来れまい」
がさ……
「!!」 「Faceか……」 「つけられているぞ」 Londは頷いた。 「あぁ、気づいている」 「追ってきてないようだな」 「あぁ、こう二人揃っては姿を現し難いだろう」 「それより、なぜここに?」 「すぐにでもここから離れた方が良い」 Londは眉間にしわを寄せた。 「どういうことだ」 「お前も感じているだろう……。自分が狙われていることぐらい」 「お前、何か知っているのか?」 「詳しいことは、また後だ。ジュノでゆっくり話をしよう」 FaceはLondに背中を向けて歩き始めた。 「ここは危ないか……」
Tubomiは黙ってCrioの話を聞いていた。 「続けるが、Carlanが多大な利益を手に入れるちょっと前、臥竜の滝下降口付近で、その戦友の1人、Perdelの遺体が発見された」 「え!?」 Tubomiの顔がこわばった。 「首のない遺体だ。……この後、Carlanが多大な利益を手に入れた」 「――これが何を意味するか分かるかい?」 Tubomiは小首をかしげた。 「これはぼくの記者としてのカンだが、Perdelは、Carlanが不正をすることに気づいたと思うんだ。だから、殺されてしまった」 「そ、そんな……。Carlanさん、そんな恐ろしいことをする人には見えないよ」 「確かに、彼は誠実な人物のようだ……。面識がないけど、彼のことを調べてみると、不正という不正、疑惑という疑惑は、ただそれだけだね」 「だったら」 「山のような金が目の前にあれば、誰だって目がくらむさ。 それに、もし不正が発覚されたら、せっかくの大役を降りなくちゃならない」 Tubomiは悩んだ。 「もし、Crioさんの言う通り、Carlanさんがそんなことしたとしても、お父さんには関係ないよ」 「危険を冒してまで、自分の手で人殺しをするかい?」 「えっ?」 「Carlan氏は、別の者にPerdelを殺すよう頼んだ」 Tubomiは黙ってCrioを見た。 「そして、その人物は、彼の指示通り、Perdelを斬首した」 「それが、君の父親――Londだ」 「そ、そんな!」 「信じられないのは分かる。しかし、目撃者がいる」 「目撃者……」 Tubomiは考えた。 「まさか……」 Tubomiは身を翻し、かけだした。 「お、おい! 続きがあるんだ!」
「さっきから、殺気のようなものを感じる」 Londはあたりに注意を払った。 「Faceが言っていたことは本当だったか……」 Londはかけだした。 「早くこの場から離れた方が正解だな……」
「ようやく見つけた……」 「ここで仕留めれば……。念願の……」 「やめて、Ryokoさん」 続く……。 |