第12話「関与」 (03/06/07) |
「久しぶりだな、この国に足を踏み入れるのは……」 LondはCarlanの元に向かって歩き始めた。 「ん? これは……?」 Londは足下に落ちていた物に気づいた。 「ロケットだな……」 Londはその中身を確かめた。 「これは……、Carlanの娘の肖像画……。奴の落とし物か……」 Londはそれを手にして歩き出した。 「Carlan、久しぶりだな」 CarlanはLondを見て驚いた。 「ろ、Lond……」 「人の顔を見て、そんなに驚くな」 「いや、すまない……」 CarlanはLondを歓迎した。 「よく来たな、……と言いたいところだが、突然現れるなんて、どんな風の吹き回しだ?」 Londは苦笑した。 「あまり歓迎されていないようだな……」 「そうじゃない」 「いや、おまえ、ミスリル銃士隊の副隊長になったそうじゃないか」 「あぁ、そのことか……。まぁ、運が良かっただけさ」 「私にも、お前の幸運が少しでもあったらな」 「ただ、あの大戦での功績が尾を引いたのと、人材不足なだけだ」 「運であることに代わりはない」 「それより、おまえ、ここに来たのは、それだけを言いに来ただけか?」 「まぁ、お前の顔を久しぶりに見たかったこともあるが」 「そうそう、これを渡すのを忘れていた」 LondはCarlanに拾ったロケットを渡した。 「それは……」 「お前のだろう」 Carlanはロケットがないか確かめた。 「あぁ、落としたみたいだな」 「その中身、おまえの娘の自画像だな……。あれからどうなった?」 Carlanは項垂れた。 「あれからすぐに亡くなった」 「そうか……。病気には勝てなかったというわけか……」 LondはCarlanを慰めた。 「まぁ、娘の分の幸運を手にしたと思って、生きた方が良い」 「あぁ、すまない」 「それより、お前の娘が、わたしを訪ねに来たぞ」 Londは驚いた。 「なんだって?」 「しばらくすれば、ここに元に返ってくる」 「そうか……」 「会ってやらないのか?」 Londは考えた。 「いや、やめておく」 Carlanは眉間にしわを寄せた。 「なぜだ」 「今日は厄日なのでな。何か不吉なことが起こるやもしれん」 「厄日?」 「あぁ、色々とだ。Perdelが亡くなったが、丁度21日だしな」 「Perdel……」 「今日は、お前のところでゆっくりするつもりだったが、出来そうにないな」 「……お前の娘へはなんて言ったらいい?」 「いや、ここにやってきたことは言わないでくれ」 「お前を捜してここまでやってきたのだぞ」 「すまない」 LondはCarlanの前から立ち去った。 「Tubomiの出現といい、Londの出現といい、こんな時期に現れるなんて、偶然にしてはできすぎている……」 Carlanは眉間にしわを寄せた。 「わたしの周りで、一体何が起きているというのだ……」
「ちょっと良いかな」 「ん?」 TubomiはTarutaruを振り返った。 「君はCarlan宅を出入りした娘だね」 「今日、一回だけ出入りしただけですけど」 「ぼくは、こういう者です」 TarutaruはTubomiに名刺を差し出した。 「Crioさん……。ウィンダスの特ダネ編集局の人」 「よろしく」 「それで、わたしに何か?」 「うん。実は、Carlan氏について調べていましてね。ちょっと協力して欲しいんですよ」 「と言っても、わたし、Carlanさんとは今日会ったばかりで」 Tubomiは思い出したような顔をした。 「Ryokoさんなら、Carlanさんの事、詳しいと思うよ」 「いや、彼女はCarlan氏に何か吹き込まれているかもしれないから、無理だ」 「吹き込まれてるって、Carlanさんは悪い人には見えないけど」 「それがだね、20年前、彼は莫大な利益を手にしているんだよ」 「?」 「大戦後、彼はバストゥークの貿易関係の大役に就いた。莫大な利益というのは、そこから来たと思うんだ」 「ごめんなさい。わたし、そういう難しい話は苦手なの」 「う……」 「それに、わたし、お父さんを捜さなくちゃいけないから」 「いや、この話は、君のお父さんも関係しているかもしれないんだ」 「えっ?」 続く……。 |