第9話「彼女の心を掴むのは花か心か」 (03/05/05)
とっても仲良しさん

「うん……。じゃぁ、また会おうね」
 SyanはMatosに別れの挨拶をした。
「うん。ばいばい」
 MatosはSyanに別れの挨拶をした。

うぅ……

「Syanちゃん……。う、うぅ……」
 Matosは悩んだ。

「会う度に、この想いが膨らんでゆく……。ど、どうすれば良いんだ……」

第9話「彼女の心を掴むのは花か心か」

どうしたのかな?

「ねぇ、どうしたの?」
 Matosはビックリした。
「い、いつの間に!」
「ねぇ、さっきの女の子、もしかして恋人?」
「うぅ……。まだ、そういう関係じゃないのです……」
「じゃぁ、お花でも贈ってみたら?」
「お花! そう言えば、Moari-Kaoriがタロンギカタクスを贈ったとか何とか……」
 MatosはTubomiに懇願した。
「ぼくをタロンギカタクスのあるところまで案内してくれませんか!?」

いいよ♪

「うん、いいよ。一緒に頑張ろう!」
「おー!」
 こうして、わたしとMatosさんの二人はタロンギにあると言われる「一番珍しくて、一番神秘的で、一番気品のある花」を目指して旅立つのでした。


タロンギだ

 東サルタバルタを抜けると、タロンギ大峡谷と呼ばれる場所に出ます。
 入ってしばらくは錐だった谷底を進むんだけど、そこを抜けると広大な荒野が現れます。ここから見える夕日がとっても綺麗です。
「ねぇねぇ、Tubomiさん」
「何?」
 Matosは一人の女性を指さした。

見てるよ〜

「さっきから、あの人こっちの方を見てるんだけど」
「あっ、本当だ……。Matosさんのお知り合い?」
「ううん。知らない」
「じゃぁ、ほっとこう」
 MatosはTubomiが楽天的だと思った。

ゴブだぁ!

「つ、Tubomiさん! ご、ごぶが襲ってきますぅ!」
「うぅ……。が、頑張る!」

つ、強いよぉから
でも、負けそ〜
ま、まずいです!
あわわ……
てい

「えい!」
 そこに現れたのは、あの女の人でした。ゴブリンをあっさり倒してくれました。
 助けてくれなければ、今頃、どうなっていたことか……。

優しい

「大丈夫だった?」
「はい。ありがとうございます」
「なんか、危なっかしいから、わたしもついて行ってあげる」
「わぁ、ありがとう〜」
 Tubomiは喜んだ。
 MatosはTubomiだけで心細かったので安心した。

 この人の名前はRyokoさん。お姉さん的なとっても優しい方です。
 Matosさんが好きな女性にあげる花を探していると聞いたら、手伝ってあげる、と言ってくれました。
「もうすぐ、タロンギカタクスがある所よ」
「やったぁ。すっごい綺麗な花なんだろうなぁ」
 Kapapaは喜んだ。

…………
↑タロンギカタクス

「こ、これが珍しくて、神秘的で、気品のある花……なの?」
「なんか、毒々しい花だね。これを持って行って、喜ぶかな?」
「うぅ……」
「どうするの?」
「こんなんじゃダメだ! もっと綺麗な花を探す!」
「がんばろ〜」
 TubomiはMatosを応援した。
 こうして、別の花を探してタロンギを歩き回りました。

疲れました〜

「ねぇ、ちょっと疲れちゃった」
「じゃぁ、あそこの木の下で休みましょうか?」
 綺麗な花を探して歩き回ったのでクタクタです。そもそも、こんな荒野に綺麗なお花なんて、咲いてるのかな?

!?

「こ、この花は!」
「うわぁ。綺麗なお花」
「Tubomiさん! この花に決めました!」
「うん。これだったら、喜んで貰えると思うよ」
「それじゃぁ、ウィンに戻ろうか?」

――サルタバルタ――
夜になってしまいました

「夜になっちゃったね……」
「お花を届けるのは、明日だね」

いたぁ!
ぎゃぁ!

 Matosの持っていた花が、Savanna Rarabによって潰された。
「せっかくのお花が!」

うぅ……
う、うぅ……

「く、苦労して手に入れた花なのに……!」
 Matosは武器を握りしめた。

ゆるさん!
ゆるさないぞ!!
バタリ
バタ……

「お花……」
 Tubomiはつぶれた花の前でポロポロと涙をこぼした。
「うぅ……」

西サルタのウサギは破れたラブレターを落とすのです

 RyokoはSavanna Rarabの側に落ちていた手紙を拾った。
「これは?」
「うわぁ。もしかしてラブレター?」
 TubomiはドキドキしながらRyokoが持つ手紙を見た。
「Matosさんへになってるよ」
 RyokoはMatosに手紙を渡した。

もしかして!
こ、これは

『Matosさんへ。
 17日の24時に、星降る丘で待ってます。
                     Syanより』

「17日って、今日じゃないの?」
「でも、24時って、もうすぐじゃないかな?」
「い、行かなくちゃ!」
「でも、お花は!?」
 Matosは踏みつぶされた花を握ってかけだした。

待っててね!

「Syanちゃん! 待ってて! ぼく、ヤグードに襲われても駆けつけるから!」

――星降る丘――
星降る丘
着いた……
いない……
…………
うぅ……
うぅ……。間に合わなかった……
シャウト!

/shout
「Syanちゃん! 大好きだ〜〜〜!!」

「…………」
「Matos君?」
「えっ?」
まさか
もしや……
Syanちゃん
反対側にいた……

「Syanちゃん……」
 MatosはSyanの前で顔を赤くした。
「こ、これ」
 MatosはSyanにつぶれた花を差し出した。
「タロンギまで行って摘んできた。……けど、ウサギに襲われて、潰れちゃった」
 Syanはつぶれた花を受け取り、ポロポロと涙を流した。
「大変な思いまでして……。ありがとう。わたしもMatos君のこと大好き」


赤くなっちゃうよ

「見てるこっちまで、赤くなるね」
 Ryokoは笑みを浮かべながら、二人の様子をうかがった。
「でも、人を好きになるって、良いことだね」
「Tubomiちゃんはいないんだ」
「まだいらないかなぁ〜。でも、いつか素敵恋してみたいね」

 こうして、わたしはひとつのカップルを作ることに成功したのでした。


続く……。